2020年12月
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えて
毎年、冬になると流行するインフルエンザ。今年は新型コロナウイルスとの同時流行が懸念され、インフルエンザの感染者が増えると医療崩壊を招く可能性も指摘されています。いつも以上にインフルエンザ対策が必要です。
「3密の回避」「咳エチケットの徹底」「丁寧な手洗い」を続けよう
前の冬、興味深いことにインフルエンザはそれほど流行しませんでした。その理由として、新型コロナウイルスの予防法として推奨された「3密の回避」「咳エチケットの徹底」「丁寧な手洗い」をみんなが守ったことがインフルエンザの予防にもつながったといわれています。というのも、いずれも咳やくしゃみなどによる飛沫感染や、ウイルスに触れた手指などで口や目を触る接触感染で広がるからです。
引き続きこれらの対策を実践するとともに、十分な睡眠やバランスのとれた食事、規則正しい生活を心がけ、日ごろから体の調子を整えておくこともインフルエンザや新型コロナウイルスの予防策になります。
インフルエンザワクチンを接種しよう
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症を防ぐ有効な方法にワクチンがあります。新型コロナウイルスのワクチンはまだ開発途上ですが、インフルエンザワクチンは開発されてから約90年の歴史があり、安全性も確かめられています。
インフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザ発症の危険性を50~60%減少させることができるとされています。インフルエンザワクチンを接種することは自分自身の健康を守るだけでなく、医療崩壊を防ぐことにもなります。
なかでもインフルエンザワクチンの接種が強くすすめられるのが高齢者や乳幼児、心臓病や腎臓病、糖尿病などの持病のある人や妊婦です。こうした人は免疫の働きが弱く、インフルエンザに感染すると、肺炎を発症しやすかったり、基礎疾患が重症化したりするリスクが高いことがわかっています。
なお、自治体によっては、令和2年度のみ高齢者などリスクの高い人にはインフルエンザワクチンを無料で接種できるようにしているところがあります。市区町村に問い合わせるとよいでしょう。
インフルエンザが疑われたら、まずは医療機関に連絡
高熱や頭痛、咳などの症状が現れ、インフルエンザだと思って受診したら新型コロナウイルスだったということもありえます。体調に変化が現れたときは、受診する前に必ず医療機関に連絡をして、指示を受けるようにしてください。
なお、自宅療養する際は、部屋を加湿する、こまめに換気をするなどを心がけましょう。
インフルエンザや新型コロナウイルスについてわからないことがあるときは、薬剤師に気軽におたずねください。
イラストレーション:堺直子
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