薬局からのお便り ~6月~

2018年6月

この夏こそ、本気で治そう!「水虫」

日本人の5人に1人はかかっているといわれる水虫。「私の足はかゆくないし、水虫とは縁がない」と思っていませんか。 実はかゆみのある水虫は全体の半分以下。ひょっとしたらあなたも水虫にかかっているかもしれません。

これからの季節、白癬菌(はくせんきん)が活発に

水虫の原因は白癬菌というカビの一種です。多くのカビがそうであるように、白癬菌も高温多湿が大好き。体の中で蒸れやすい足に水虫ができやすいのはそのためです。また、白癬菌は皮膚の角質の主成分であるケラチンというたんぱく質を栄養源としており、足の裏の角質は体のほかの部分に比べて厚く、白癬菌にとっては栄養の宝庫。これもまた、足に水虫ができやすい理由です。
足の水虫は、1)足の指の間の皮がめくれたりジュクジュクする趾間型(しかんがた)、2)足の裏に小さな水ぶくれができ、かゆくなる小水疱型、3)足の裏、特にかかとの皮膚が硬くなり、かゆみがほとんどない角質増殖型に大きく分けられます。通常、趾間型と小水疱型から始まり、これらを繰り返しているうちに角質増殖型へと移行していきます。時には爪にまで白癬菌が入り込み、爪が白く濁ったり厚くなったりする爪白癬が起こることもあります。

根気強く治療を続けよう

水虫は自然に治ることはまずありません。きちんと治療をすることが大切です。趾間型や小水疱型の水虫には主に塗り薬が使われます。きれいに見える場所にも白癬菌が潜んでいる可能性があるので、症状が現れている部分だけでなく、広範囲に塗ります。新しい角質層に生まれ変わるには3カ月ほどかかります。症状が治まったとしても、3カ月間は薬を塗り続けるようにしましょう。
塗り薬はなかなか皮膚の中まで浸透しません。そのため角質増殖型や爪白癬は内服薬による治療が中心となります。この場合も3~6カ月間飲むようにします。なお最近、爪に浸透しやすい塗り薬が開発され、爪白癬の治療に用いられています。

家族内感染にも注意して

白癬菌が皮膚に付着してから角質層に入り込むまで24時間以上かかるといわれています。ですから、白癬菌が付着しても1日1回足を洗って落とせば、水虫になる可能性はかなり低くなります。洗ったあとは足の水分をよく拭き取ってしっかり乾燥させましょう。できるだけ通気性のよい靴や靴下を選ぶことも水虫予防に有効です。また、ほかの家族にうつさないようにすることも大切です。足ふきマットやスリッパを共有しない、水虫のある人は家の中を素足で歩かない、掃除機などで床や畳をこまめに掃除するなどを心がけましょう。なお、水虫のある家族の靴下やタオルを一緒に洗っても、白癬菌は洗い流されるので感染の心配はありません。
最近、さまざまな種類の水虫の市販薬が出ています。購入する際には症状を薬剤師に伝え、適したものを選ぶようにしましょう。市販薬を使っても症状が好転しない場合や気になる症状があるときには、皮膚科を受診しましょう。

イラストレーション:堺直子

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