2018年3月
ぎっくり腰の対処法と予防法
重い荷物を持ち上げようとした瞬間、腰に激痛が走り、「痛っ」と思わず叫んだ──同じような経験をもつ人は多いのではないでしょうか。冬の間、運動不足が続いた人は特に注意を。ぎっくり腰が起きたときの対処法と、再発予防法をご紹介します。
前かがみや急な腰のひねりが引き金になりやすい
ぎっくり腰とは、急に起こる激しい腰痛の俗称で、正式には急性腰痛症といいます。ぎっくり腰は年代を問わず発症し、男女差はありません。ぎっくり腰を招く姿勢で最も多いのが前かがみです。重いものを持とうとして、顔を洗おうとして、靴を履こうとしてなど、前かがみになる姿勢は日常生活の中に多々あるので注意しましょう。後ろから声を掛けられ振り返る、といった腰をひねる動作も、ぎっくり腰の引き金となります。
ぎっくり腰の主な原因は、腰椎(背骨の腰の部分)の椎間関節(ついかんかんせつ)のねんざやじん帯の損傷、関節を包んでいる部分のめくれやねじれ、腰背筋(ようはいきん)の肉離れなどです。また、椎間板ヘルニアや急性膵炎(すいえん)、尿管結石といった病気の症状の一つとしてぎっくり腰が現れることもありますが、原因がはっきりしないケースも多くみられます。
2~3日の安静後、体を積極的に動かす
ぎっくり腰が起きたら、膝を少し曲げて横向きに寝る、あお向けに寝て膝の下にクッションなどを入れ、膝を少し曲げるなど、楽な姿勢で安静を保ちます。市販の湿布薬を貼るのもよい方法です。湿布薬は、腰部が腫れていれば冷やすタイプが勧められますが、ぎっくり腰の場合、腫れていることが少ないので温めるタイプ、冷やすタイプのどちらでもご自身が楽になるほうを選ぶとよいでしょう。発症後、2~3日したら無理をしない範囲でできるだけ体を動かすようにします。用心しすぎて安静を続けていると、回復が遅れてしまうからです。ただし、じっとしていても痛みが治まらない、時間が経つにつれ痛みが強くなる、足がしびれるといった場合は、何らかの病気が引き金となっている可能性があります。できるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
症状がつらいときは早めに受診
ぎっくり腰は一度起こすと、その後も繰り返しやすくなります。再発を防ぐには、痛みが治まったら、腹筋運動や背筋運動で筋力を強くしたり、ウォーキングで体力を向上させたりすることが有効です。
ぎっくり腰を起こしやすい前かがみの姿勢や、急に腰をひねるといった腰に過剰な負担をかける姿勢や動作、重いものを持つようなことは避けるようにしましょう。
体重が重いと腰にかかる負担が多くなり、ぎっくり腰を起こしやすくなります。腹八分目の食事を心がけるとともに、積極的に運動を行い、適正体重(身長[m]×身長[m]×22)を保つことも大切です。なお、対処法などぎっくり腰についてわからないことは薬剤師に気軽におたずねください。
イラストレーション:堺直子
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